「桐島です」

偽名で生きてきた。
けれど心までは、偽らなかった。

2024年1月26日。
1970年代の連続企業爆破事件で指名手配中だった「東アジア反日武装戦線」メンバー・桐島聡（70）とみられる人物が、末期胃がんで神奈川県内の病院に入院していることが判明した。

数十年にわたり「ウチダヒロシ」と名乗り、藤沢市の土木会社で住み込み生活を送ってきた男。
「最期は本名で迎えたい」と語ったその3日後、静かに息を引き取った。

1975年、銀座・韓国産業経済研究所爆破事件に関与したとして指名手配され、半世紀に及ぶ逃亡生活を続けた桐島。
彼は何を思い、どんな道を歩んできたのか──。

『夜明けまでバス停で』の高橋伴明監督と脚本家・梶原阿貴が、盟友・宇賀神寿一氏の取材協力を得て、その軌跡を描く。


1970年代、高度経済成長の陰で社会不安が渦巻く中、反日武装戦線「狼」に共鳴した大学生・桐島は仲間と行動を共にする。しかし、三菱重工爆破事件の犠牲者を機に深い葛藤を抱き、警察の捜査で組織は壊滅。偽名で逃亡を続け、工務店に身を寄せる中、歌手キーナと出会い心を通わせるが──。

©北の丸プロダクション