黒の牛

2026年3月14日~3月20日

内なる宇宙と森羅万象。禅に伝わる「十牛図」から紐解く、大いなる円環

そして 「無」の先へ ——

急速に変わりゆく時代。住む山を失い、放浪の旅を続けていた狩猟⺠の男は、山中で神々しい黑い牛と邂逅する。男は抵抗する牛を力ずくで連れ帰り、人里離れた⺠家で共に暮らしはじめる。生きるために大地を耕しはじめた男と牛だったが、自然の猛威の前に、息を合わせることができない。しかし、ある禅僧との出会いをきっかけに、次第に心を通わせていく──。

リー・カンション×⽥中泯 ×坂本⿓⼀

主演は、ツァイ・ミンリャン作品で知られる台湾の名優リー・カンション。映画『国宝』で歌舞伎役者・⼩野川万菊役で強烈な印象を残したダンサーの⽥中泯が禅僧として出演。音楽には、⽣前本作への参加を表明していた坂本⿓⼀の楽曲を使⽤し、場所や時代を超越した世界観をさらに深く印象づけている。

「フィルム以外では映画を撮らない」と明言し、独自の映像哲学を貫く蔦哲一朗監督。本作も全編をフィルムで撮影し、⻑編劇映画としては⽇本初となる70mmフィルムも⼀部で使⽤した。⽇本・台湾・アメリカの3か国が⼿を携えた国際共同製作で、8年もの歳月と想像を超える情熱の末に生み出された、壮⼤なスケールの映像詩である。

【十牛図〈じゅうぎゅうず〉とは】
禅宗の修行過程を象徴的に描いた十枚の絵と、その詩文・解説からなる一連の図像である。牛は「心」や「真理」、あるいは「仏性」を象徴し、それを探し、捕まえ、飼いならし、そして超越していく修行者の精神的な歩みが、十段階に分けて表現されている。南宋時代の禅僧・廓庵(かくあん)禅師によるものが最も知られ、後に多くの寺院や画家により描かれてきた。十牛図は単なる修行の比喩にとどまらず、人間の内的成長と悟りの普遍的な道程を示すものとして、今日でも深い意味を持ち続けている。
――松山大耕(妙心寺退蔵院 副住職)

© NIKO NIKO FILM / MOOLIN FILMS / CINEMA INUTILE / CINERIC CREATIVE / FOURIER
配給:ALFAZBET/ニコニコフィルム/ムーリンプロダクション

(スタンダード&シネマスコープサイズ/5.1chサラウンド/白黒&カラー)

上映期間 2026年3月14日~3月20日
上映時間 1時間54分
監督 ・脚本・編集:蔦哲一朗 
出演 リー・カンション、ふくよ(牛)、田中泯、須森隆文、ケイタケイ ほか
制作国 日本=台湾=アメリカ
制作年 2024
公式サイト https://alfazbetmovie.com/kuronoushi/