バレンと小刀　時代をつなぐ浮世絵物語

伝統的な職人技と現代アートの交差する、
珠玉のドキュメンタリーが誕生


ゴッホなど印象派の画家にも影響を与えた江戸の浮世絵版画の技術を継承する、老舗「アダチ版画研究所」。近年、彼らは草間彌生、ロッカクアヤコ、ニック・ウォーカーといった世界的に活躍する38名の現代アーティストを絵師に迎え、新たな浮世絵版画の創作に挑む、壮大なプロジェクトに乗り出した。

彫師と摺師は、古典的な浮世絵とは異なる、現代アートならではの多様な表現や世界観に直面し、時には絵師からの鋭い指摘に苦悩する。それでもなお、職人としての矜持と飽くなき探究心から、原画の持つ美しさを丁寧にすくい上げ、さらなる高みを求めて試行錯誤を繰り返す。

約5年にわたる制作期間を経て生み出された86作品は、2025年春に東京国立博物館で開催された「浮世絵現代」展で発表された。本作は、伝統を受け継ぎながらも常に挑戦を続ける職人たちの姿を、情感豊かに描き出す。

監督は、草間彌生を追った『≒草間彌生 わたし大好き』、伝説のモデル・山口小夜子に迫った『氷の花火 山口小夜子』、『掘る女　縄文人の落とし物』で知られる松本貴子。

©️2025「バレンと小刀」製作委員会