ポーラX〈特集|レオス・カラックス 初期傑作4Kレストア版上映〉

2026年3月7日~3月20日〈日替わり上映〉

レオス・カラックス 8年ぶりの復活
ハーマン・メルヴィルの問題作「ピエール」を映画化

「この世界は箍(たが)が外れている。なんの悪意か、それを正す役目に生まれるとは。」──『ハムレット』の独白から戦闘機の空爆へ。連写銃のようなコラージュ映像から物語は幕を開ける。母マリーや婚約者リュシーと裕福で満ち足りた田園生活を送る青年ピエールは、やがて「姉」と称して闇の世界から現れたボスニア難民イザベルの抗しがたい魅力に引き寄せられ、全てを捨てて彼女とパリに出る。ピエールとイザベルはお互いの魂を強烈に求め合いながら、螺旋状の暗闇を深く下降してゆく。全速力で疾走し、狂乱し、旋回するバイク。炸裂するパーカッション。イザベルは本当の姉なのか。闇が深まるほど疑惑も深まる。運命に翻弄され、絶望へと吸い込まれていく二人の激しく疾走する愛を、カラックスは息もつかせぬエモーショナルな映像と音でラストまで描き切る。

『ポンヌフの恋人』から8年。レオス・カラックスが、18歳の頃に読み「自分のために書かれた」と心酔したメルヴィルの小説を映画化した復活作。初の小説の映画化でありながら、20世紀末の文脈に置き直し、自身の物語として読み直そうとした意欲作である。 主演のギヨーム・ドパルデューとカテリーナ・ゴルベワが困難な役柄を体当たりで演じ、ピエールの母をカトリーヌ・ドヌーヴが圧倒的な存在感を放った。光に満ちた前半から、コントラストの強い16ミリ映像の闇へと変容していく撮影監督エリック・ゴーティエの映像美、そしてスコット・ウォーカーによる不穏な音楽が観る者を圧倒する。壮絶なロマンティシズムの物語として描いた『ポーラX』は、20世紀の映画シーンの終わりにカラックスが発した魂のメッセージ。

© Eurospace

上映期間 2026年3月7日~3月20日〈日替わり上映〉
上映時間 2時間15分
監督 ・脚本:レオス・カラックス
出演 ギョーム・ドパルデュー カテリーナ・ゴルベワ カトリーヌ・ドヌーヴ
制作国 フランス・ドイツ・日本・スイス合作
制作年 1999
公式サイト https://carax4k.com/pola-x/index.html